
明治の作家・樋口一葉の作品等を展示した記念館。
地元の一葉協賛会の要望に応じて、台東区が昭和36年に記念館を建設。その後40年余りを経て、館の老朽化が進んだことや樋口一葉が新五千円札の肖像に採用されたことを機に、平成18年(2006)11月1日にリニューアルオープンした。
樋口一葉について
一葉は幼い頃は裕福な家庭に育ちましたが、17歳で父を亡くし、女性でありながら戸主として一家を支えなければならなくなってからは苦労が絶えませんでした。
18歳(明治24年、1891)の時、母と妹を養うために小説家を志しますが、それだけでは生活は成り立たず、生活苦を打開するために、明治26年(1893)7月、龍泉寺町で荒物・雑貨と駄菓子を売る店を始めます。
しかし、商売は思ったようには上手くいかず、翌年5月には店をたたみ、本郷丸山福山町(現・文京区)に転居、執筆活動に専念し、次々と作品を発表するようになります。
一葉は明治25年(1892)、雑誌『武蔵野』に処女作「闇桜」を発表、<奇跡の14ヶ月>といわれる、明治27年(1894)の12月~明治29年(1896)の1月の間に「大つごもり」「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」等の代表作を執筆しています。
特に、名作「たけくらべ」は龍泉寺町での商人としての生活体験が大きな影響を与えたといわれており、龍泉寺町での生活体験がなければこの作品は生まれなかったのではないかともいわれています。
小説「たけくらべ」について
「たけくらべ」は、一葉の小説の中でも最も長い小説で400字詰原稿用紙75枚149頁になります。構想は、下谷龍泉寺町時代に練られ、萩の舎での文学的要素と龍泉寺町での極貧生活体験の中から生まれたといわれています。
小説のタイトルの「たけ」の言葉には、「身の丈(身長)」や「思いの丈」という意味がこめられています。
物語の舞台は、龍泉寺町界隈と遊廓吉原になっており、いずれは吉原の遊女となる美登利と僧侶となる信如の思いのすれ違いをはじめとして、大人へと成長していく子どもたちの様子が、季節ごとの行事を織り交ぜながら見事に描かれています。
※当館には、「たけくらべ」草稿が展示してあり、この原稿の推敲のあとを見れば、一葉がどんなに創作に苦しんだかがおわかりいただけます。
休館日: 月曜日
一葉記念館へのアクセス:
・地下鉄:日比谷線三ノ輪駅 徒歩10分
・都バス(都08):日暮里駅⇔錦糸町駅「竜泉」下車 徒歩 3分
・北めぐりん:「一葉記念館入口」下車 徒歩 2分
・つくばエクスプレス:浅草駅 徒歩15分